【本の感想】アガサ・クリスティー 『パディントン発4時50分』 松下祥子訳

アガサ・クリスティー 『パディントン発4時50分』 松下祥子訳、早川書房クリスティー文庫電子書籍版)、2012年発行を読みました。

原題は『4.50 from Paddington』です。

☆☆☆

ポケットにライ麦を』に続く、ミス・マープルシリーズの第七作目です。スーパー家政婦が館に潜入調査をする物語です。

スーパー家政婦

32歳のスーパー家政婦ルーシー・アイルズバロウの活動がもっとも目立ちます。ルーシーには学があり、労働を苦にせず、女性陣からは頼りにされ、男性陣は年寄りから子供まで誘いを受けるスーパー家政婦です。自分に自信があってみなぎる力で活動する彼女はとても魅力的です。

ルーシーを雇っているのはマープルですし、館で潜入捜査をさせるのもマープルの思いつきなのですが、実働部隊として一人活躍する彼女の姿の印象は物語の中でもっとも強いです。

マープル

マープルは随分とおとなしいです。冒頭の殺害シーンを実際に調査するなど活動的なのですが、一度ルーシーが動き出すと影を潜めてしまいます。

犯人を特定する最後の閃きも、実は証拠という証拠無い苦し紛れの方法のように思えてなりません。

もちろん、冒頭の犯行を婆さんの白昼夢と片付けなかったり、人脈を駆使して調査をさせたりと、マープルはマープルで活躍する見せ場はあるのですがそれまでです。

さいごに

誰が何故犯行におよんだのか?という話は物語を楽しむ上であまり重要ではありません。冒頭のありそうなワンアイデアとルーシーの活躍をただ楽しむ話だと思います。

物語の華は全部ルーシーにあり、犯人側には華がないからです。

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