【本の感想】アガサ・クリスティー 『ひらいたトランプ』 加島祥造訳

アガサ・クリスティー 『ひらいたトランプ』 加島祥造訳、早川書房クリスティー文庫電子書籍版)、2012年発行を読みました。

原題は『Card on the Table』です。

☆☆☆

メソポタミヤの殺人』に続く、名探偵エルキュール・ポアロシリーズの十三作目です。ポアロの着眼点がゲーム模様と室内に何が置いてあるかであることが面白いです。

集められた殺人者

どこかで読んだ設定だと思ったら、『ABC殺人事件』にこう書かれてありました。以下引用します。

「四人の人間がブリッジをしていて、それに加わらない一人が暖炉のそばの椅子に座っている。夜更けになって、暖炉のそばの男が死んでいることが発見される。四人のひとりが、ダミーになって休んでいるときに、そこにいって彼を殺したが、ほかの三人はゲームに夢中になって気づかなかった。ああ、それがあなたにふさわしい犯罪ですよ! 四人のうち誰がやったのか?」

追加で、殺された紳士は犯罪者をコレクションにしている悪趣味な紳士で、容疑者たちに対するのは私立探偵エルキュール・ポアロ、警視バトル、諜報局員令す大佐、探偵作家アリアドニ・オリヴァ婦人という設定です。

この設定だけで面白いですが、ポアロの調査がまた面白いです。

ポアロの調査方法

バトル警視は型どおりの聞き込みから始めますが、ポアロはなぜかブリッジのことや、部屋に何があったかを質問します。ポアロらしい心理的な側面での調査なのですが、途中でその意味が分かるとなるほどと思います。

近い内容では『メソポタミヤの殺人』がありますが、さらに本作では、ゲームに集中している時に、人は何を覚えていて質問に答えるかという心理学的方法で捜査をします。

過去の事情や経歴、職業などでも回答は異なってくるのですが、容疑者それぞれの回答を事実として捉えて、それぞれの考え方の型を見つけて犯人に迫ろうとする様はちょっとしたゲームのように思えて面白かったです。

さいごに

面白そうな設定、変わった調査方法、ポアロらしい解決と結末と、なかなか面白いエンタメです。ブリッジのことは分からなくても、ゲームが集中するときはどういう時か、ゲームが盛り上がっているのはどこあたりかは説明があるので、そこ踏まえて読むとポアロの考えに近づけて楽しかったです。

ちなみに『オリエント急行の殺人』の凶器が突然出てきます。ネタバレの説明付きで出てくるので、『オリエント急行の殺人』が未読なら先に読むことをお勧めします。

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