【本の感想】アガサ・クリスティー 『鳩のなかの猫』 橋本福夫訳

アガサ・クリスティー 『鳩のなかの猫』 橋本福夫訳、早川書房クリスティー文庫電子書籍版)、2012年発行を読みました。

原題は『Cat Among the Pigeons』です。

☆☆

死者のあやまち』に続く、名探偵エルキュール・ポアロシリーズの二十八作目です。サスペンスとミステリーを組み合わせたポアロものである必要の無い物語です。

ポアロは友情出演のようなあつかい

ポアロが登場するのは残り30%くらいからです。それまでは全く出てきません。登場するとあっさりと事件を解決してしまいます。

このような扱いのため、ポアロものの必要性がないように思います。まるで友情出演で出てきた役者のようです。

著者のサービスなのか、『マギンティ夫人は死んだ』でメシマズだったところがポアロの助言で改善された話が出てきます。

舞台設定はもりだくさん

中東某国の革命、持ち出された宝石は行方不明、舞台はイギリスの名門女子校、殺人に誘拐、園丁として潜入する若い男、設定は色々と盛り込まれています。

学生たちや女教師たち、名門学校の運営など、学校模様が色々と語れており、そこに楽しみがあるようにも思えます。事件の本筋とは関係は無く、それほど華があるわけではありません。

とはいえ、まったくつまらないわけではありません。いつもなら犯人を特定して、動機が語られて事件が終わるわけですが、今回はそうではありません。

余韻は良い

最後の数行が良い余韻を残しているため、読後感は良いです。直前までの欲にまみれた人たちと比べると、その爽やかさに感じ入る言葉が良いからです。

さいごに

女学校を舞台にしたサスペンスとミステリーを組み合わせた軽い読み物です。読後感は良いですが、ポアロもののミステリーとして読むと、それじゃない感が強くなります。

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