【本の感想】アガサ・クリスティー 『第三の女』 小尾芙佐訳

アガサ・クリスティー 『第三の女』 小尾芙佐訳、早川書房クリスティー文庫電子書籍版)、2012年発行を読みました。

原題は『Third Girl』です。

☆☆

複数の時計』に続く、名探偵エルキュール・ポアロシリーズの三十作目です。全体的にぼんやりしている物語です。

つかみは面白い

つかみは面白いです。ポアロは年をとりすぎていると言われて依頼人に断られてしまいます。依頼内容は依頼人自身が犯したらしい殺人についてという、なにやら謎めいたものです。この二つは面白いのですが、その後は全体的にぼんやりしていて読めるのですが面白くはありません。

オリヴァ夫人

その面白くなさを補うためか、オリヴァ夫人が素人探偵として活躍します。活躍といっても尾行はバレてしまいますし、後ろから殴られて気絶させられたりとあまりいいところはありません。もちろん、重要なポイントもあるのですが、行動の人が移動先で偶然見つけたものだったりして勢い感だけがあります。

おしゃべりなところは変わりません。そんなオリヴァ夫人が好きならいいのでしょうが、ファンでもないとそれほどの面白さではありません。

全体的にぼんやりとした話

そもそもの依頼内容にしてもぼんやりしていますし、その後の展開もそこに迫るような内容ではありません。関係があるかないか分からない小さなネタをいくつも読まなければいけません。話が解決に向けて動いているようにもあまり感じられませんし、強く引っ張られるネタもありません。そのため、終始ぼんやりしているように感じられます。

作中の内容からそのぼんやりがラストに掛かっていると思わないこともないですが、ぼんやり感が先行しているせいか、印象に残りません。

さいごに

作中でポアロが「なんたるまやかし」と言っています。多くのまやかしはありますが、それでも冗長に感じさせずそれなりに読めます。でもそれが面白いかというとそうではありません。そしてつまらないわけではありません。

なんとも微妙で雲をつかむようなぼんやりした感じです。

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