アントニオ・メンデス、マット・バグリオ 『アルゴ』 真崎義博訳、早川書房(ハヤカワ文庫NF)、2012年発行を読みました。
原題は『ARGO – How the CIA and Hollywood Pulled off the Most Audacious Rescue in History -』です。
☆☆
エンタメではなく実録に舵を切ったためか面白くありません。
映画『アルゴ』を補完するために読めばまた違うかもしれません。
「真実は小説より奇なり」と言いますが
「真実は小説より奇なり」と言います。現実にやってのけた設定は小説よりも奇なりなのですが、それだけでノンフィクションが面白いわけではありません。この『アルゴ』がまさにそれです。
映画を知らなければそうではないかもしれませんが、映画を先に知ってしまうとエンタメ感がなく、ノンフィクションらしい下準備の話が中心となるため非常に地味です。ハリウッド、偽プロダクションなど派手な文字が出ていても、面白さではフィクションに勝てていません。
エンタメにはない魅力
とはいえ別の魅力はあります。それは映画では見えない準備を重ねていくところです。文章化において、隠されているところはたくさんあるのでしょうが、当時のアメリカとイランなどの状況や、今回の作戦を閃くまでの積み重ねなど、裏方の大変さを知ることができます。
残念なことは緊張するシーンであっても描写は抑え気味なことです。ノンフィクションであってももうちょっとフィクションに色気を出してほしかったです。
さいごに
設定の派手さや映画を知ってからの期待からすると、エンタメ感がないので肩透かしもいいところです。スパイが派手にアクションするのはフィクションの世界だけなんだとあらためて感じました。
準備のところで面白さがあれば良かったのですが、地味な積み上げの連続で、最後まで盛り上がることはありません。求めるものを間違えていました。
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