林亮介『迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの』 ソフトバンククリエイティブ(GA文庫)、2009年発行を読みました。
迷宮街クロニクルの二作目であり、『迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル?』の続編です。前作に続き、迷宮の探索と探索者周辺の日常を描いています。
☆☆
つまらないわけではないですが、面白いわけでもないです。1巻との違いはあれど、感じることは同じです。
変わる日常
あっけなく死がやってくるところは変わりません。迷宮の深層まで探索をする初期の人物だからか、今回はあっさりではありません。一巻ではなかった救出への必死感が伝わってきます。
残された人への気遣いの描写も一巻と比べて濃くなっています。また新アイテムや探索者以外の動きも変化が出始めており、二巻は三巻への橋渡しのように思えます。
その他には、迷宮街の中の人と外の人の違いが特徴的に描かれていました。
外の友人とを絡めて中と外の違いを気にするシーンはただの心配事でしたが、葬式のシーンは死生観、金銭観に踏みこんだ直球です。
とはいえ、違うことを物語の核にしているわけでもありません。
変わらない日常
一方で日常は変わりません。テレビの取材に応じ、クリスマスには騒ぎ、神戸へパンダを見に行き、海外旅行にも行きます。
死が身近なところを感じさせる描写もありますが、刹那的というよりも青春を謳歌しているような感じです。
さいごに
断片的な話がつながって物語は進むのですが、記憶に残るようなつながりにはなっていません。そのため、特段面白さを感じるところはありませんでした。
次巻『迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く』では、さらに深層に進むためにゴンドラを建設する話です。
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