今村光一 『いまの食生活では早死にする 改訂最新版 自分の健康を守るための指針』 経済界(リュウブックス)、2002年発行を読みました。
1977年にアメリカ上院栄養問題特別委員会がレポート(マクガバン委員長の名を取ってマクガバンレポートとも)を発表しました。そのレポートでは、世界の食事と健康の調査を元に、アメリカ型の食生活が病気を招いている「食源病」と、医学が食事との関係性を軽視していることを指摘しています。
本書はそのレポートの抄訳、編集版であり、改訂、再改訂を重ねて著者が食生活について加筆を重ねたものです。
☆☆
1977年に、現代も言われている食生活と健康についてまとめたレポートがあったことに驚かされました。しかも内容は間違っているように思えません。一方で著者の主張は強く、どこまでがレポートでどこまでが著者の主張なのかが分かりにくいです。
抄訳とはよくいったもので
元のレポートは5,000ページ超あり、それを抄訳でまとめたということですが、レポートのどの部分を参照してまとめた内容なのかがさっぱり分かりません。しかし、書かれている指針はいわゆる粗食であり、聞いたこともある話も多く、理解できることが多いです。
レポートを補強するためか、他の文献もまとめてレポートの有用性を強化しているのですが、これも誰が言っているかが分かってもどこが分かりません。
さいわい、近藤正二『新版 日本の長寿村・短命村』は読んでいるので納得はしましたが、どこか自分に都合の良い編集をしている感がぬぐえません。
良いことを書いているし、まとめていると思います。しかし、中盤からは著者のいうところの「M委レポートというより著者の責任で加筆していることになる」(p8)であり、特にビタミンとがん治療に偏りが目立つのことも有り、胡散臭く、怪しくなっています。
その後のアメリカ
現代の状況を見るに、アメリカはこのレポートを活かすことができてなかったようです。
レポート内で指摘されていた項目に関わる団体のロビー活動なのでしょうか。経済を優先した結果なのでしょうか。そう思うと残念です。
さいごに
牽強付会とまでは言いませんが、もうちょっとなんとかならなかったのかと思います。
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