水野俊哉『ビジネス本作家の値打ち』 扶桑社、2010年発行を読みました。
ビジネス本作家46人、232作品について面白おかしく書いているブックガイドです。
☆☆☆
短いながらも適切な紹介と突っ込みは面白かったです。
ビジネス本が売れる仕組みを書いたコラムは、ビジネス本バブルの裏側を分かりやすく伝えています。
ビジネス本は特定の出版社が強いことが分かりますし、出版社による選別も考えないといけないと思いました。
短いながらも適切な紹介と突っ込み
作家別の紹介は、作家がどのような本を出し続けているかが分かります。その中で二番煎じ、三番煎じ、謎の肩書なども分かるようになっています。これが面白いです。
ビジネス本は回転が速く、その時その時の潮流とインパクトで手に取ってしまうので、過去にどのような本を出していたかなどあまり考えないものです。それがぱっと分かるというのは便利です。
当たり障りがないように見える紹介も上げて下げて突っ込んでいます。その突っ込みは罵倒もなく悪意もなく、笑いと突っ込みと感心を織り交ぜた文体のためか、読みやすかったです。
そして、ビジネス本作家という芸人ぶりが垣間見えます。
ビジネス本が売れる仕組み
このコラムがある意味、最も価値があります。ビジネス本作家という芸人が、出版社が売るために何をしているかがシンプルに書かれています。
ビジネス本の中身はともかくとして、求めているところに売るための努力が合わさるのですから、流行るわけも分かります。
実際、今でもこの手法は使われていますから、色褪せない手法なんだなと感心します。
出版社色々
せっかくなので232作品がどの出版社から出ているか数えてみました。
1位はダイヤモンド社の21冊、2位はフォレスト出版の16冊、3位はサンマーク出版の15冊、4位は大和書房とPHP研究所の13冊です。
このあたりの出版社は、通勤電車内で心に響くような宣伝文句を見かけても手を伸ばさないようにしたいと思います。
それぞれ何冊か家にありますが、どういう本だったか、仕事に役立ったかは記憶にありません。
さいごに
ビジネス本というのはしっかりとマーケティングしてビジネスしている本です。それがビジネスに役立つというよりも、ダイエットのような一種のコンプレックス商法と同じような気がします。
過去に何冊かビジネス本を読んだ後に、改めて本書を読めば突っ込みに笑えます。一方で、真面目にビジネス本を読んで実践している人からすると、あまりいい気分にはならないでしょう。
実感して、多少なりとも紹介されている著者のことを知っていると面白さが分かります。
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