橘玲 『臆病者のための株入門』 文藝春秋(文春新書)、2006年発行を読みました。
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株の世界がどういうものかを軽快な語り口で説明しているため分かりやすい内容です。株取引を始める前に読めば、株の世界の概要が分かりますし、自分の投資スタイルを考える上で役に立ちます。
金融リテラシーを身に着けるのに良い本ですし、iDeCoなどの確定拠出年金やつみたてNISAで悩んでいるなら参考になります。
分かりやすい語り口
結論に面白みはありませんが、株の世界の概要が分かる良い本です。やや軽薄ともいえる軽い語り口のため難しいところはありません。曰く、
- 株式投資はギャンブル
- 株式投資は様々な差異(歪み)から利益を得るゲーム
- 歪みはすぐに修正される
- 資産運用に成功するためにギャンブラーになる必要がない
など、前半の三章だけでもためになることが多いです。実際、最初は分からなくても個別株の取引をしているとうなづけることばかりです。
ゲームで富を作り出す方法
様々な理論を解説したうえで、著者はトーシロ投資法を勧めています。内容は読めば分かります。この読めば分かることが大切です。詳しく知ろうと思うと、海外のそこそこ高くて分厚いことが多い本を読み進めないと証明できない内容が、本書では軽い語り口であっさりと、それなりの説得力で答えを出してくれます。
参考文献一覧をたどれば原著を知ることができます。本書はそれらの超要約みたいなものなので、株式投資でちょっと迷ったときなどに本書を読み返せば、自分の投資スタイルを思い出すことができて大変便利です。
我が家には511ページの『ウォール街のランダム・ウォーカー 原著第11版』があります。511ページの本を読み返すよりも、本書のチェックしたところをパラパラと読み返した方が楽です。
トーシロ投資法の素晴らしさ
お金でお金を生み出す世界なので、様々な理論があります。そしてそれぞれを信奉、もしくは参考にしている人がいます。そのため一概になんとも言えないところがあります。
しかし、ゲームとして株式投資を楽しむのではないのならば、このトーシロ投資法が一番単純であり、「経済学的にもっとも正しい投資法」ではないでしょうか。なぜ経済学的にもっとも正しい投資法かは読めば書いてありますし、今のiDeCoやつみたてNISAはこの考えと同じようなものです。
そして何よりも、著者が経験した追証に関する話はたいへん参考になります。著者ほど巨額でなくても虎の子のお金を株式投資に突っ込むと同じような気持ちになります。慣れるには胆力が必要でしょう。そこまで胆力がないならトーシロ投資法を選択すべきです。
さいごに
私は本書のお勧めしているトーシロ投資法に近いことをしています。つまり、日本を除いたMSCIコクサイ・インデックスとTOPIXを85対15の割合で組み合わせて投資しています。その他に、個別株取引を現物と信用でしています。
確定拠出年金には様々な商品があり、様々な解説がされています。悩ましくて結論が出ないのであれば、本書は背中を押してくれる一冊になります。
ちなみに私の場合は【資産運用】2019年の資産運用方針に詳細を書いています。
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